2023年6月からの価格改定について、公式LINE側の発表がありました。

https://www.linebiz.com/jp/news/20221031/
発表に関してはこの通りです。
概要としては、今までは無料で1000通送ることができたのが、無料の場合は200通までと激減するという内容で、多くのマーケッターたちが「改悪」という動画をすでにアップロードしています。
これについて、公式LINEとWordPressを連携する公式LINE拡張ツール「LPress」の開発者として見解や意見などを書いていきます。
「YouTubeを閉じなさい」
今回の公式LINEの価格改定(実質の値上げ)の報道を見て、多くの人は改悪だと感じると思います。
そして、発信者側になっている人は「これは○○のチャンスです!」と発信をしている人もいます。
”変化”というのはピンチとチャンスが同時にやってくるものなので、その人がどの立場に立って状況を見ているかで、捉え方が変わってきます。
と言っても、この投稿ではそういう観念的なことを中心に書くのではなく、わかりやすい表現をしながら複雑なことを解説していきたいと思います。
今回の公式LINE側の発表は、YouTubeに夢中に夢中になっている子どもに「YouTubeを閉じなさい」と伝えるようなものだと考えています。
絶望的な気持ちになるし、「改悪だ」と叫びたくなる気持ちが生まれることと思います。
なので、多くの人が次のフレーズが耳に入っていません。
「かわりに、映画館に行くよ」
この「かわりに、こうします」や「今後こうします」について耳を傾けていくことが大切です。
さらに、今後は企業・店舗とユーザーとの双方向の深い繋がりを生み出せるサービスを目指し、下記のような取り組みを進めていきます。
- 「LINE公式アカウント」上のサービス利用情報やアンケート結果などのユーザーデータとの紐づけ※による、より高度なメッセージ配信の最適化
- PayPayやYahoo!JAPANなどのZHDグループ各社サービスとの連携によるユーザー接点の強化
- 業種特化型パッケージプランの提供※全てユーザー許諾済みのデータ
このような今後の活用の方向性を見据え、2023年6月(予定)に「LINE公式アカウント」の料金プランを改定する予定です。
https://www.linebiz.com/jp/news/20221031/
公式LINE側が、何のために価格改定をして、今後どうして行こうと思っているのかについて言及しているマーケッターは意外と少ないです。なぜなら、上記を見ても「で、結局どうなるの?」がわからないからです。
そこで、マーケティング的な側面と、エンジニア的な側面を同時に考えながら未来を予測していく必要があるのです。
公式LINEは、どこに向かおうとしているのか
公式LINEは、非常に気軽で便利なツールとしてチャット機能を無償でリリースしています。
チャットというのは、テキストだけでなく画像も送られたり動画も送られたりするため、膨大なデータを扱うことになるのですが、今回の価格改定ではチャットは無償のまま据え置きとなっています。
ということは、
「今後を見据えた上でも、個別のやりとりのチャット機能は大切」と考えたということです。
それもそのはず、公式LINEは「LINEを仕事で使う」という機能で、そもそものLINEはコミュニケーションツールだからです。
- コミュニケーションを取ること
- 顧客に対して便利なサービスを提供すること
それが、LINE社のミッションです。
私たちのミッションは、世界中の人と人、人と情報・サービスとの距離を縮めることです。
https://linecorp.com/ja/company/mission
そしてこれからは、ユーザーの生活すべてをサポートするライフインフラとして、個人に最適化されたFinTech・AIテクノロジーを通し、オンライン・オフラインが融合した新しいインフラ体験をひとりひとりに届けていきます。メッセンジャーアプリを超え、ユーザーの毎日に寄り添うプラットフォームになることを目指していきます。
https://linecorp.com/ja/company/mission
逆にいえば、ここに関わる機能は削らないし、アップデートを行なっていくということでもあります。
糸電話で拡声器を使う
今回、価格改定をせざるを得なかったのは、多くの仕事に使うユーザーがLINEをメルマガのように使ったからです。この辺りはニュースの冒頭部分に書かれています。
「LINE公式アカウント」は、企業や店舗がユーザーにとって「本当に欲しい情報」を届けることで、ユーザーひとりひとりに最適化された双方向のコミュニケーションサービスを目指しています。
https://www.linebiz.com/jp/news/20221031/
しかし、メッセージの一斉配信などによる一方的なコミュニケーションが多くなっていたことが、課題となっていました。
冒頭にしっかりと書くということは、相当課題だったのだろうと想像されます。
つまり、
「糸電話のように、ユーザーひとりひとりに最適化された双方向のコミュニケーションサービスを
拡声器のような大声で使う使い方」
が、LINEの目指しているミッションと違うために大幅な改革に乗り出したと考えられます。
よく見る、「プレゼント希望」と送ったら長文メッセージが返ってくるものや、その後もメルマガのように長文で送られてくるような使い方です。
それがNGとは言わないけれど、5分の1くらいに控えてね・・というのが、1000通 → 200通 の理由なのではないでしょうか。
先ほどのニュースでも、続けてこのように書かれています。
このような課題を解決するため、これまで、企業や店舗がよりユーザーひとりひとりの興味や関心に合ったメッセージを届けられるよう、ユーザーの属性/行動に応じたメッセージ配信の多様化・高度化など、さまざまな機能追加・アップデートを行なってきました。
https://www.linebiz.com/jp/news/20221031/
公式LINEの料金改定に基づく対策
さて、ここまでは公式LINE側が何を目指しているのか、何のための改訂なのか という部分について書いていきました。ここからは「料金改定に基づく対策」を書いていきます。
「LINE公式アカウント」上のサービス利用情報やアンケート結果などのユーザーデータとの紐づけによる、より高度なメッセージ配信の最適化
今後の対策として書かれているこの内容は、今までの「属性」「オーディエンス」を使ったナローキャスト(属性配信)の強化をするものだと考えられます。
例えば「20代の女性で、山形県に住んでいるユーザーだけ」のような配信を行うことができます。
ただ、こちらの機能は不特定多数に対してマーケティング活動を行う事業者にとっての機能となるので、100人〜1000人ほどの対個人配信が多いフリーランスから小規模事業者にとっては、あまり恩恵がないものと思われます。
業種特化型パッケージプランの提供
また、業務特化型パッケージプランについては、第一弾はLINE公式アカウントの利用率が最も高い「飲食店」を対象に行うとしています。
パッケージプランの内容例は以下の通り
- シンプルで使いやすい予約管理ツール:
「Yahoo!リザベーションマネージャー」が利用可能- 「lineで予約」が利用可能、成果課金はなし
- メッセージ10万通が無料で実質送り放題:
(通常プランは4.5万通まで無料)- 初期設定や運用のサポートあり
- 月額固定費は18,000円

また、過去にLINEが行った「特化型サービス」を見るとイメージがつながっていきます。過去に行った業務特化型のサービスとしては「CLOVA OCR(請求書特化型)」
https://clova.line.me/clova-ocr/
なので、今後業務に紐づいた配信に特化したプランを追加でリリースする予定だと想定されます。
最後に、こちらに触れておきます。
PayPayやYahoo!JAPANなどのZHDグループ各社サービスとの連携によるユーザー接点の強化
この部分、結構重要だと思っています。PayPayやLINEがどこの会社に属してるのかは書かないとして、「テクノロジー的に統合していっている」という流れが生まれています。
LINE開発者向けのリリースで、ここ最近の過半数以上は「LIFFのアップデート」についてです。
公式LINEの価格改定を受けて、今から6ヶ月間で何をすればいいのか
今から約6ヶ月後には、先述したように、公式LINEは今まで通りの配信ができなくなります。
逆に言えば、「あと6ヶ月間しか、今までのように大量配信ができない」ということになります。
この時にやるべきことは「大量配信の恩恵を、今のうちに使うこと」ではないです。
というのも、大量配信向けの施策を今取ってしまうと、価格改定の後もその影響を受けることになるからです。
大量配信をするために、大量に増えた友達に対して、1回も配信ができなくなるという未来が6ヶ月後にやってきます。
では、今何をするべきかというと 以下の3つに絞られます。
- 今できる配信を使って、アカウント連携をする
- メルマガや外部SNSとの連携を強化する
- プラットフォームとしての情報配信基地(ウェブサイトやペライチ)を強化する
それぞれについての詳細は、また追って書いていきますが、公式LINE拡張ツールの「LPress」は上記の対策が今のうちから加速できるように開発されています。LPressではLIFF連携も無料の機能の中で対応しています。
今後も、2023年6月からの価格改定でも公式LINEを今まで以上に楽しく使えるような
「コミュニケーション・デザインツール」としての機能をリリースしていきます。